おじぃちゃんの入れ歯
先日、祖父の7回忌がおわりました。
あっという間だと感じました。
お正月休み明け、朝支度をしているとき祖母の家から電話があり私の祖父は起床することなく眠ったまま亡くなりました。
突然いなくなったショックであの頃はしばらく心の整理がつかず
『突然大好きな人を失ったかわいそうな自分』
という被害妄想で生きていました。笑
亡くなる前日、祖母の家でみんなで食事をしていました。風邪気味だった祖父は寝ていて部屋に行って具合を聞くと体のことより
『入れ歯があたって右上が痛いからみてほしい』と言っていました。
わかったよ。そしたら早めにみるからねと伝えた言葉が最後だったのか他に何か会話をしたのか未だに定かではないのですがどちらにしろもう2度と祖父と話すことはできなくなりました。
祖父をおくりだす前日
外してあった入れ歯を職場に持っていき昼休み痛がっていた右上あたりを少し削りました。その時にふっと
『なんかおもちゃみたいな入れ歯だな、もっとちゃんとしたの作ってあげたら良かったな』
と思いました。
その頃祖母も祖父も院長に作ってもらったいわゆる保険適応の入れ歯を使っていました。
納棺士というお仕事を知っていますか?
映画で話題になったおくりびと。
遺体の口元を整え、ひげそりやお化粧を行い生前に近いお顔に戻し、体を綺麗にし着物などに着せ替えて棺に納めるお仕事です。
その日女性の納棺士の方がいらっしゃって
私は彼女に入れ歯を渡しました。
鶴の恩返しの鶴のように
『作業中は開けないでください』と言い残し祖父の部屋で作業しているので戸の隙間から気になって気にって覗こうとしていたのを母に怒られました🤣
『終わりましたのでこちらにどうぞ』
と案内され祖父の顔をみると
入れ歯が入り口元がふっくらし髭もなくなり頬の血色が良くなって揺さぶって声をかけたら起きるんじゃないかと思うほどただそこで眠っているようでした。
その時に納棺士の方に
『やっぱ歯って大切だね』って声をかけると
『あってもなくても脱脂綿をいれたりしながら整えられるけどあったほうが整えやすいし歯はあったほうがいいですよね』
と話したことをよく覚えています。
祖父が亡くなってしばらくした頃
祖母に『ちゃんとした入れ歯を作ろう』
と提案し金属床という自由診療にはなりますが薄くて丈夫な入れ歯を院長に作ってもらいました。
※自由診療とは保険が適応されない治療
うちの院長は元々補綴といって(ほてつと読みます)かぶせものや入れ歯を専門に勉強していた人です。
今思えば最初から祖父もいいものを作っておけば最後まで痛みを訴えることもなく噛めたんじゃないかなと悔やまれます。
院長はプラスチック材料がメインの保険適応の入れ歯でも丁寧にきちんと作ってくれていました。今院長は保険適応の入れ歯の作製はしていませんが保険だから手を抜いて作るとかそういった事はしてませんでしたのでそこはご理解いただきたいところではあります。
私は近所に住んでいるのでまだ歯科衛生士を志す前、ひらの歯科医院ができてしばらくしてから近所の人が
『ひらのさんは入れ歯が上手だよ』という評判を知っていたので保険とか保険外という選択肢を深く考えずとりあえず院長に作ってもらえれば安心と思っていただけのことです。
院長の技術が高くても保険適応の入れ歯の材質の限界があります。
保険の入れ歯の材料はプラスチックです。
かたいものを噛むと壊れやすくかといって厚みをもたせると口の中の違和感ははんぱじゃありませんので今度は喋ることが困難になります。
かといって自由診療の入れ歯だから魔法のように全ての機能が一瞬で取り戻せるわけではありません。
私はよく例え話として患者さんに話しますが
入れ歯は義足や義手と同じです。
義歯と書くぐらいですから。
慣れるまで、自分のものとするまでリハビリが必要です。自分の歯を取り戻したんじゃない、自分の歯のように噛める機能を取り戻すために使うものと説明します。
保険の入れ歯との自由診療の入れ歯の大きな違いは自由診療の入れ歯にはたくさんの種類があります。
薄くて丈夫にできたり
痛みが出づらいようなやわらかいクッションみたいなものがつけられたり
女性の方の要望にとても多いのですが入れ歯のバネが目立つのが嫌だという人用に入れ歯だとバレない入れ歯というのもあります。
例えばあなたが自分の歯を取り戻したいと強く思う場合、現状入れ歯ではなくインプラントが1番近いと思います。見栄えもいいですし取り外しもなくそれこそ自分の歯のように噛むことができます。
しかしインプラントは誰でもできるものではないのです。
まず基本的にインプラントは保険適応ではありません。
当院でもやっておりますが一本あたりの金額もそれなりにしますし、例え金額の面がクリアできても外科手術なので手術が怖かったりインプラントを打つための骨が少なかったり病気をたくさん抱えているご高齢の方に適応しない事も少なくありません。
インプラントを否定しているのではないです。当院でも月に1回〜2回院長と外科の先生がインプラントの手術も行っています。
また難しい症例と判断した場合はインプラント専門の先生への紹介もしております。
当院の得意分野は
◯金属を使わないセラミック治療
◯精密根管治療
◯精密義歯治療
●訪問診療
●歯周病治療
となっております。
まず、患者さん一人に対し担当の歯科衛生士がカウンセリングを行い全ての治療の土台となる歯周病治療をしていきます。
その後それぞれの治療の専門の医師とコンサルを行い治療計画を提案します。
いろいろな選択肢があります。
治療の方法や期間、金額などの相談だけでも承っておりますのでぜひ一度お問い合わせください。
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